黒字なのに潰れる会社が増えている理由
- tomohiro adachi
- 5 日前
- 読了時間: 4分

「黒字なのに苦しい」――この違和感、放置すると危険です。
いま多くの中小企業が、利益とキャッシュがズレる局面に入っています。
実際、最近よく聞くのがこの言葉。
「決算は黒字なのに、通帳残高が減っていくんです」
「資金繰りが、毎月じわじわ苦しい」
まず前提として、倒産件数そのものが増えています。帝国データバンクの集計では、2025年の倒産は1万261件(前年差+3.6%)で、12年ぶりに年間1万件を超えたとされています。しかも目立つのは“小規模倒産”。つまり「体力がある会社が倒れる」というより、「ギリギリで回している会社が耐えきれない」局面です。
さらに東京商工リサーチの過去の分析では、倒産した企業の約7割が直近決算で最終赤字でした。裏返せば、残りの約3割は“直近が赤字ではない(黒字・トントン含む)”のに倒れていることになります。
ここが、社長が誤解しやすいポイントです。
PLは「前提」、資金繰りは「現実」
黒字でも資金が減る理由はシンプルで、PLに出ない“支払い”が増えているからです。
代表格は、借入金の元本返済。利息は費用でも、元本返済は費用ではありません。
ここ数年の特徴は、コロナ期の資金繰り支援(いわゆるゼロゼロ融資等)の反動で、返済負担が重く、追加の借入が難しくなって破綻する企業が目立つという点です。
加えて、いまの中小企業は「複合パンチ」を受けています。
コスト増(仕入・外注・物流・エネルギー・人件費)
人手不足による賃上げ・採用費の固定費化
売上が伸びた会社ほど、売掛金や在庫が先に膨らみ運転資金が増える
結果として、「利益は出ているのに、息ができなくなる」。これが黒字倒産の構造です。
“黒字なのに苦しい会社”が必ず落ちる3つの穴がありますので、紹介しておきます。
1)返済を「経費」と勘違いしている
試算表で利益が出ていても、毎月の返済が大きければ通帳は減ります。
いま起きているのは、まさにここです。
2)成長が資金を食う(運転資金の増加)
売上が増えるのは良いことですが、先に必要になるのは仕入・外注・人件費です。
入金より支払が先に増えると、黒字でも資金が詰まります。
3)「節税」のつもりで資金を固めている
保険の積立や不要な資産投資で、キャッシュが外に出ていく。
税金は減っても、通帳が減れば会社は守れません。
社長が今日からやること(ここだけ押さえれば、事故は減ります)
では、どうすればこのような事態を避けることができるのでしょうか。
それは以下の3つです。
① まず資金繰り表を“未来12カ月”で作る
月次試算表は「過去の結果」。資金繰り表は「未来の予定表」です。
向こう12カ月の 入金・支払・返済・税金 を並べるだけで、危険日はほぼ見えます。
② 「資金が減らない最低ライン」を逆算する
私が顧問先で必ずやるのは、これです。
資金がトントンになる利益=(元本返済+資産計上の支出+税金など)-(減価償却など非資金費用)を埋めるだけの利益
たとえば、
経常利益:700万円
元本返済:3,000万円
ほか資産計上の支出:100万円
減価償却:1,000万円
こんな会社だと、PLは黒字でも、資金は簡単にマイナスになります。
「じゃあ最低いくら売上(粗利)が必要か?」を次で出します。
③ 変動費と固定費に分けて「最低売上」を出す
売上に連動する費用(仕入・外注・送料等)を変動費、家賃・人件費・利息等を固定費に分けます。
そうすると、
売上 × 限界利益率(=1−変動費率)
そこから固定費を引いた残りが利益
という形で、「利益をいくら作れば資金が減らないか」→「売上はいくら必要か」を逆算できます。
これができると、社長の打ち手がブレません。
値上げか、粗利率の改善か、固定費の見直しか、在庫圧縮か、回収条件の交渉か。どれをやるべきかが数字で決まるからです。
最後に
いまは、黒字か赤字かよりも、「通帳が増える構造かどうか」が会社の生死を分けます。
環境がイレギュラーな時期ほど、気合よりも設計図。PLだけではなく、資金繰りと管理会計で“呼吸”を確認しながら進めましょう。
「うちは黒字だから大丈夫」と思った瞬間が、一番危ない。
私はそう考えています。









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