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売上はたったの5点?銀行が社長に教えない「格付け」の真実



いちご会計事務所の所長、足立知弘です。


毎月実施している顧問先様との面談の中で、最近ある共通の「キーワード」が頻繁に登場するようになりました。それは「銀行の評価」に対する危機感です。「売上至上主義ではもう通用しないのか」「赤字を出したら即、融資は止まるのか」……。現場で渦巻くこうした疑問に、今日は私なりの答えを出してみたいと思います。


実は、社長様が夜も眠れずに気にされている「売上」や「利益」は、銀行の評価項目の中では合わせて10点(200点満点中)ほどしかありません。では、銀行は一体どこを、どのように見ているのか。銀行が実際に「格付け」の根拠としている「CRDモデル」に基づき、チェックされる項目をカテゴリーごとにすべて列挙してお伝えします。



銀行格付けの全体像:定量評価と定性評価


銀行の評価(スコアリング)は合計200点満点で行われます。


定量評価(129点):決算書の数字に基づいた評価です。中小零細企業においては、実質的にこの項目だけで勝負が決まると言っても過言ではありません。


定性評価(71点):技術力、経営者の資質、事業計画などの数字に表れない評価ですが、実務上、中小企業では評価されにくい項目です。


したがって、我々が注力すべきは129点満点の定量評価です。銀行はこれを以下の4つのカテゴリーで採点しています。


1. 返済能力(配点:55点)

銀行が最も重視する項目で、全体の4割以上を占めます。


  • 債務償還年数(20点):借入金をキャッシュフロー(利益+減価償却費)で何年かけて返せるか。10年以内が望ましいとされます。


  • キャッシュフローの金額(20点):1年間で実際にお金がいくら増えたかという絶対額です。


  • インタレスト・カバレッジ・レシオ(15点):営業利益が支払利息の何倍あるか。本業の儲けで金利を払う余裕を測ります。目標は5倍以上です。


2. 安全性(配点:34点)

会社が潰れにくいかどうか、体力を評価します。


  • 自己資本比率(10点):総資本のうち純資産が占める割合。最低でも15%以上が目安です。


  • ギアリング比率(10点):負債と自己資本のバランス。自己資本に対して負債が過大でないかを評価します。


  • 流動比率(7点):短期的な支払い能力。120%〜150%以上が理想で、100%を切ると危険信号です。


  • 固定長期適合比率(7点):固定資産が長期資金で賄われているか。長期的な資金繰りの安定性を見ます(低いほど健全)。


3. 成長性(配点:25点

将来の飛躍の可能性や拡大余地を評価します。


  • 自己資本の額(15点):純資産の絶対額。内部留保が厚ければ、将来の投資に回せると判断されます。


  • 経常利益の増加率(5点):前年と比較して利益がどれだけ増えたか。


  • 売上高(5点):売上の規模です。社長が最も気にする売上は、実はここでの5点分に過ぎません。


4. 収益性(配点:15点)

効率的に儲けているかを評価します。


  • 利益の金額(5点):単純な儲けの額です。3期連続黒字なら満点、1期でも赤字なら0点となる厳しい側面があります。

  • 利益率(10点):売上高経常利益率や総資本経常利益率など、投下した資本に対してどれだけ効率よく利益を出しているかを見ます。



「数字」を動かすのは、社長の「意志」である


これら膨大な指標を並べると、非常に冷徹な「算数の世界」に見えるかもしれません。しかし、私は公認会計士として多くの決算書を見てきて確信していることがあります。それは、「数字は、社長の情熱の投影である」ということです。


『星の王子さま』で知られるサン=テグジュペリは、こんな言葉を残しています。


「船を造りたいのなら、男たちを集めて木材を切り出させたり、仕事を割り振ったりするのではなく、ただ、広大で無限な海への憧れを教えよ」


経営もこれと同じではないでしょうか。「自己資本比率を上げよう」「債務償還年数を縮めよう」と、ただ数字の帳尻を合わせようとしても組織は動きません。まずは社長自身が「わが社をどのような高みに連れていきたいのか」「地域や社員のために、どれほど強固な財務体質を築きたいのか」という、無限の海への憧れにも似た「強い願望」を抱くこと。


その「願望」こそが、日々の無駄な経費を削り、付加価値の高いサービスを生み出し、結果としてこれらの指標を劇的に改善させる唯一のエネルギー源なのです。



最後に:決算書は「未来への羅針盤」


銀行にとって決算書は「格付け」の道具ですが、社長にとっては「次の一手を決めるための羅針盤」です。「売上さえあればいい」という近視眼的な経営から脱却し、これらの指標を意識した「骨太な財務」へと舵を切る。その決意をした瞬間から、会社の数字は変わり始めます。


「自社の今の点数を知りたい」「どこから手をつければいいか」と迷われたら、いつでも面談で声をかけてください。共に、理想の海へ向かって進んでいきましょう。


公認会計士・税理士 足立知弘

 
 
 

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