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決算3か月前に何をする?社長が税理士と確認したい5つのこと

1 時間前
読了時間: 7分

「決算が近づいてから、利益が出そうだと分かった。何か節税できないだろうか」。こうしたとき、支出を増やす話だけで打合せが終わっていないでしょうか。決算前に確認したいのは、税額だけではありません。納税後にいくら現金が残り、そのお金で来期の経営をどう進めるかです。


結論|決算3か月前に、利益・税金・現金を一緒に見通す


決算前の打合せでは、①今期の着地利益、②納税額と納付後の現預金、③賞与・設備投資、④売掛金・在庫の実態、⑤来期の利益計画を確認します。直近の試算表を使い、判断する内容と担当者、実行期限まで決めることが大切です。


「3か月前」は法律で定められた期限ではなく、資料をそろえ、選択肢を比較するための実務上の目安です。設備投資や制度利用には、もっと早い準備が必要な場合もあります。すでに決算直前でも、まず現状を整理するところから始めてください。


①今期の着地利益|試算表の利益をそのまま決算予測にしない


最初に、決算までにどれくらい利益が残るかを見積もります。基本は「直近までの累計利益+残りの期間の見込利益±決算整理等の影響」です。毎月同じ売上・利益が続くと考えず、受注残、繁忙期、値上げの進捗、人員の増減を反映します。


例えば、9か月累計の税引前利益が600万円、残り3か月の見込利益が300万円、まだ反映していない決算整理による費用が100万円なら、着地予測は800万円です。これは説明用の仮定例です。月次ですでに計上している減価償却費などを、二重に差し引かないようにします。


前年や当初計画との差を見つけたら、原因を売上数量・単価・粗利益率・固定費に分けて確認します。予想より利益が少ない理由が値引きにあるなら、残り3か月の対策は経費削減だけではありません。受注条件や価格交渉も検討対象になります。


私は、数字は結果を採点するだけでなく、次の行動を決めるために使うものだと考えています。決算予測も「利益はいくらです」で終わらせず、今から変えられることを明確にしたいところです。



②納税額と現預金|税金を払った後まで資金繰りを確認する


会計上の利益と、税金を計算する所得は同じとは限りません。損金に算入できない費用や繰越欠損金などの影響を税理士と整理し、法人税・地方税と消費税を分けて見積もります。納付済みの中間税額も確認し、これから支払う金額を把握してください。


消費税は利益に一定の率を掛ければ計算できるものではありません。自社の課税方式や取引内容を踏まえ、利益予測とは別に試算する必要があります。納付時期も税目ごとに確認し、決算後の資金繰り表へ入れます。


例えば、納税前の現預金見込みが1,200万円、そこから支払う税金が300万円、設備代金が200万円なら、この2項目を支払った後は700万円です。ただし、これは給与・仕入代金・借入返済などの追加支出と入金を省略した仮定例であり、自由に使える資金が700万円あるという意味ではありません。


実際には月別に入出金を並べ、最も現金が少なくなる月を探します。「払えるか」に加え、「支払った後も運転資金を確保できるか」を判断することが重要です。



③賞与・設備投資|必要性、税務要件、支払後の資金を確認する


決算賞与や設備投資は、従業員への還元や将来の生産性向上につながる選択肢です。ただし、「税金が減る」という理由だけで金額を決めないでください。支出によって得られる効果と、手元資金への影響を比較します。


仮に、支出100万円の全額が当期の損金となり、税負担の減少割合を30%と置くと、税金の減少は30万円です。支出しない場合と比べた手元資金は、差引70万円減ります。税率30%は説明用の仮定で、実際の適用税率や消費税・社会保険などは別途確認が必要です。


従業員の未払賞与を当期の損金にする場合には、国税庁が示す所定の要件があります。各人別に同時期支給の対象者全員へ金額を通知し、通知した全員へ期末翌日から1か月以内に通知額を支払い、通知した年度に損金経理することなどを確認します。支給日在職を条件にする場合の通知には注意が必要です。役員賞与には別のルールがあります。


設備は、買って代金を支払えば全額を当期の費用にできるとは限りません。通常の減価償却では事業に使用し始めた時期が重要です。機械なら、搬入だけでなく据付け・試運転を経て生産を始めたかなど、実態を確認します。特例の対象や必要な手続も、契約・取得前から確認しておきましょう。


④売掛金・在庫|帳簿の残高と現場の実態を合わせる


売掛金は金額だけでなく、相手先別・回収予定日別に確認します。支払期限を過ぎたものがあれば、入金遅延の理由、請求内容の争い、回収交渉の状況を整理してください。回収が遅れているだけで、当然に税務上の損失にできるわけではありません。


在庫は数量、保管場所、滞留期間、販売可能性を確認します。決算日に初めて倉庫を調べるより、早めに動きのない商品を洗い出す方が、販売・返品交渉・処分などの選択肢を持てます。会計上の評価と税務上の取扱いは区別し、評価減や廃棄の処理をする前に根拠資料を整えます。


売掛金の回収予定と在庫の販売予定が分かれば、利益だけでは見えなかった資金繰りの課題も明確になります。経理担当者だけで完結させず、営業や現場の担当者と資料を照合することが大切です。


⑤来期計画|役員報酬・採用・返済を利益計画につなげる


決算前の打合せは、来期の準備を始める機会でもあります。売上目標から考えるだけでなく、必要な人件費、返済資金、設備投資、会社に残したい資金から、必要な粗利益と売上を逆算します。


役員報酬も、社長個人の手取りと会社の支払能力を合わせて検討します。定期同額給与の通常の改定は、原則として会計期間開始から3か月以内などの要件を確認する必要があります。「決算前3か月」と混同しないでください。期末に利益が出たから自由に増額できるというものではなく、例外の適否や決議等も確認します。


ここで決めるのは、今期末の帳尻合わせではありません。来期に誰を採用し、何へ投資し、どの利益水準を目指すかです。計画に沿って毎月の数字を確認することで、決算前に突然慌てる状態から抜け出しやすくなります。



打合せに持参する資料と、3か月間の進め方


用意したいのは、直近の試算表と前年の決算書、残りの売上・受注見込み、売掛金・在庫の一覧、借入返済予定、納税済額が分かる資料、賞与・設備投資・採用の予定です。数字が未確定でも、判明している事項と未確認事項を分ければ打合せを始められます。


3か月前は着地利益と納税・資金の仮予測を作成。2か月前は賞与や投資の選択肢を比較し、手続と実行期限を整理。1か月前は最新実績に更新し、残高確認・棚卸し・証憑整理の担当を決めます。これは進行例であり、個々の制度期限や取引日程を優先してください。


打合せの最後には「誰が・何を・いつまでに」を残します。税理士へ資料を渡すことと、経営判断を任せきりにすることは別です。会社の事情を最もよく知る社長と、税務・会計を整理する専門家が情報を持ち寄ることで、判断の精度が上がります。


決算を、次の一年を強くするための打合せに


私は、制度上できるかだけでなく、経営として実行する意味があるかを重視しています。必要な支出は行い、納税資金と運転資金を確保し、将来へ投資できる状態をつくる。そのために、利益・税金・現金を同じ打合せで確認することが大切です。


まずは次の決算日から逆算して、税理士との打合せ日を決めてみてください。いちご会計事務所では、福岡の中小企業を中心に、利益・資金繰り・予実管理などを通じて経営者の意思決定を支援しています。月次の数字を決算予測や次の行動につなげたい方は、経営強化型税務顧問の支援内容をご確認ください。



参考資料


税務情報の確認日:2026年10月14日。以下は国税庁の令和8年4月1日現在法令等の解説です。個々の適用可否は、自社の取引・決議・届出状況に応じて確認してください。





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