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部門別損益の作り方|売上が伸びても利益が出ない事業を見つける方法

20 時間前
読了時間: 8分

「会社全体では黒字なのに、なぜか利益が伸びない」「売上が増えている部門があるのに、会社全体ではあまり儲かっていない」。こうしたとき、会社全体の損益計算書だけを見ても原因が分からないことがあります。


そこで役立つのが部門別損益です。営業部門、店舗、事業、拠点などに分けて採算を見ると、どこが利益を生み、どこで利益が失われているのかが見えてきます。


ただし、部門別損益は単に経費を各部門へ割り振ればよいわけではありません。特に共通費の配賦を誤ると、本当は会社に貢献している部門を「赤字」と判断してしまうことがあります。


結論|部門別損益は「売上」ではなく貢献利益まで見る

結論から言えば、部門別損益では売上高だけでなく、売上から変動費・直接原価を引いた利益、その部門に直接かかる固定費、そして全社共通費を分けて見ることが重要です。


管理会計では、次の順番で数字を見ると分かりやすくなります。

  • 部門別売上高

  • 部門に直接対応する変動費・直接原価

  • 部門別の粗利益または限界利益

  • その部門だけに直接かかる固定費

  • 全社共通費を負担する前の部門貢献利益


私は、部門別損益で特に重要なのは「その部門が会社全体の固定費と利益にどれだけ貢献しているか」を見ることだと考えています。売上が大きい部門が、必ずしも会社に多くの利益を残しているとは限りません。


なぜ会社全体の損益だけでは足りないのか

会社全体の損益計算書では、すべての部門の売上と費用が合算されます。そのため、好調な部門の利益が不採算部門の赤字を埋めていても、全社では黒字に見えます。


逆に、売上が急増している部門でも、値引きが多い、外注費が高い、残業や配送費が増えているといった理由で、利益への貢献が小さいことがあります。売上の伸びだけでは、経営資源を追加投入すべきか判断できません。


数字の意味を知り、他部門や計画と比較し、差が生まれた原因を確認し、次の行動を決める。そのために部門別損益を使います。


部門別損益の作り方|6つの手順

1.まず「何を部門として管理するか」を決める

最初に、経営判断に使える単位を決めます。事業別、店舗別、営業拠点別、サービス別などです。細かく分けすぎると集計作業だけが増えるため、まずは主要な3~5区分程度から始める方が実務では運用しやすくなります。


2.売上高を部門別に分ける

請求書や販売管理データに部門コードを付け、どの売上がどの部門で発生したかを集計します。複数部門が共同で生み出した売上は、配賦ルールを決め、毎月同じ基準で処理します。


重要なのは、後から都合よく基準を変えないことです。前年、予算、他部門と比較できるよう、継続して同じルールを使います。


3.変動費・直接原価を部門にひも付ける

商品の仕入、材料費、販売数量に応じた外注費や配送費など、売上や数量と連動して発生する費用を部門にひも付けます。これを売上から差し引くと、部門が生み出している限界利益を把握できます。


決算書の売上総利益と管理会計上の限界利益は、必ずしも一致しません。製造業では売上原価の中に固定的な人件費や減価償却費が含まれることもあるため、自社の費用が売上に連動するかどうかで分類してください。


4.部門へ直接帰属する固定費を分ける

部門専任者の人件費、部門だけが使用する家賃や設備費、専用システム費など、その部門がなくなれば原則として消える固定費を区分します。


部門の限界利益からこれらの直接固定費を引くと、その部門が全社共通費の負担と会社利益にどれだけ貢献しているかが見えます。ここでは、この金額を部門貢献利益として考えます。


5.全社共通費は、まず別枠で管理する

社長や管理部門の人件費、本社家賃、顧問料、全社共通のIT費用などは、一つの部門に直接対応しないことがあります。これらを売上比率だけで機械的に配賦すると、部門の実態を見誤ることがあります。


まずは「その部門をやめたら消える費用」と「部門をやめても会社に残る費用」を分けてください。共通費を配賦する場合も、人数、床面積、使用時間など、費用の発生原因に近い基準を選びます。


6.毎月、差異の原因と次の行動を決める

部門別損益は作って終わりではありません。前月、前年同月、予算と比較し、売上数量、単価、原価率、人員、工数など、差が生まれた原因を確認します。


そして、値上げ、商品構成の変更、外注の見直し、工程改善、人員配置の変更など、翌月に実行する行動を一つずつ決めます。数字を責任追及に使うのではなく、次の一手を決める材料にすることが重要です。


数字で確認|全社黒字でも赤字部門は隠れる

説明のための仮定例です。単位は万円で、月次の数字とします。

  • A部門:売上300万円、変動費180万円、限界利益120万円、直接固定費70万円、部門貢献利益50万円

  • B部門:売上200万円、変動費150万円、限界利益50万円、直接固定費70万円、部門貢献利益▲20万円

  • 全社共通費:25万円


A部門とB部門を合わせた部門貢献利益は30万円です。そこから全社共通費25万円を引くと、会社全体の利益は5万円になります。全社では黒字ですが、B部門は毎月20万円のマイナスです。


ここで重要なのは、「B部門は赤字だからすぐ撤退する」と結論を出さないことです。B部門をやめても70万円の直接固定費がすべて消えるとは限りません。人員や設備をA部門へ移してより大きな利益を生み出せる可能性もあります。


部門別損益は撤退判断そのものではなく、どこを詳しく調べるべきかを示す入口です。


共通費の配賦で「赤字部門」を作らない

部門別損益で最も注意したいのが共通費です。本社費用を売上比率で配賦すると、売上の大きな部門ほど多額の共通費を負担します。しかし、その費用が本当に売上に比例して発生しているとは限りません。


例えば、経理部門の人件費を売上比率だけで配賦すると、請求件数の少ない高額案件部門が過大に負担することがあります。反対に、小口取引が多く事務負担の大きな部門のコストが小さく見えるかもしれません。


管理会計の目的は、精密な原価配賦そのものではなく、経営判断を良くすることです。まず直接帰属できる費用を正確に分け、共通費は別に見せる。その上で必要な場合だけ合理的な基準で配賦する方が、意思決定には使いやすくなります。


赤字部門を見つけたら、4つの原因に分ける

赤字や利益率低下が見つかったら、次の4つに分けて原因を確認します。

  • 価格:値引きが増えていないか。原価上昇を価格へ転嫁できているか

  • 数量・商品構成:売上は伸びても低採算の商品や案件に偏っていないか

  • 変動費・原価:材料、外注、物流、歩留まり、工数が悪化していないか

  • 固定費・生産性:人員、設備、家賃などに対して十分な粗利益を生み出しているか


この順で見ると、「売上をもっと増やそう」という一つの答えだけに偏りません。売上を追うより、価格や商品構成を変えた方が早く利益が改善することもあります。


中小企業では、精密すぎる部門別損益にしない

中小企業の現場では、管理表を細かく作りすぎると入力と集計が目的になってしまいます。最初から100%正確な配賦を目指すより、経営判断に影響する主要な売上と費用を確実に分けることを優先してください。


会計ソフトや販売管理システムで部門コードを設定し、月次決算と同時に部門別損益が出る仕組みにできれば、経営会議のたびにExcelを作り直す負担も減ります。


全社の数字を毎月どのように確認するかは、関連記事「月次試算表の見方|中小企業の社長が毎月確認すべき5つの数字と活用法」も参考にしてください。


また、部門ごとの必要売上を考える際は「損益分岐点売上高の計算方法|毎月いくら売れば赤字を避けられる?」が役立ちます。


価格が採算悪化の原因なら「値上げはいくら必要?原価・人件費上昇から適正価格を計算する方法」で必要な値上げ幅を確認できます。


部門別損益を経営会議でどう使うか

毎月の経営会議では、数字を並べるだけでなく、部門ごとに「何が変わったか」「なぜ変わったか」「来月何を変えるか」を確認します。

  • 売上高と限界利益は予算に対してどうだったか

  • 利益率が変わった原因は単価・数量・原価のどこか

  • 部門貢献利益は全社共通費を負担できる水準か

  • 翌月に変えるKPIと担当者、期限は何か


私は、部門別損益を「誰の責任か」を決める表ではなく、「限られた人員、時間、資金をどこに集中するか」を決める表として使うことが重要だと考えています。


まとめ|どの部門に経営資源を集中するかを決める

部門別損益を作る目的は、細かな数字を増やすことではありません。会社全体では見えない利益構造を分解し、改善すべき場所と伸ばすべき場所を見つけることです。


まず、部門別の売上、変動費・直接原価、限界利益、直接固定費、部門貢献利益を並べてください。共通費は最初から無理に配賦せず、別枠で確認します。その上で前月・予算との差を見て、原因と次の行動を決めます。


数字を見るのは、会社や部門を責めるためではありません。次の一歩を、より確かなものにするためです。


いちご会計事務所では、月次財務分析やKPIモニタリングなどを通じ、数字を経営判断につなげる支援を行っています。部門別採算を継続的な経営管理に組み込みたい方は、経営強化型税務顧問の支援内容をご確認ください。

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