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「マイクロ法人」その前に――うまい話の裏側を数字で見る

  • 1月21日
  • 読了時間: 4分



いちご会計事務所の足立です。


最近よく聞く「マイクロ法人」。

YouTubeやSNSでは「社会保険料が激減!」「節税になる!」と、景気のいい話が飛び交っています。

弊所でもこの半年ほど、「作った方が得ですか?」という相談が明らかに増えました。

結論から言うと、私の答えはこうです。

理屈の上ではメリットが出るケースはある。ただし、安易にやると火傷する。

今日はこの「うまい話」に対して、経営者として最低限おさえておくべき視点を整理してみます。


マイクロ法人は「魔法の杖」ではない

マイクロ法人は、個人事業主や副業をしている方が、主に「節税」や「社会保険料の削減」を目的として作る、従業員のいない小さな会社のことです。確かに、以下のようなメリットはあります。


  • 社会保険料の削減 役員報酬を最低限に設定することで、個人の国民健康保険よりも負担をぐっと抑えられる場合があります。

  • 経費の幅が広がる 社宅制度や旅費規定の活用など、法人ならではの節税策が使えます。


しかし、私がここで強調したいのは、「法人の運営にはコストと責任が伴う」という至極当たり前の事実です。たしかに、設計がうまくハマれば、手残りが増えることがあります。ここは否定しません。


しかし、私が強調したいのは、次の当たり前の事実です。


法人は、作った瞬間から「運営コスト」と「責任」が発生する。


税金は損益だけでなく「制度」にも左右されます。制度を使うのは悪いことではありませんが、制度には必ず「前提」があります。前提を外して、テクニックだけ真似すると事故ります。

「こんなはずじゃなかった」人の共通点

実際に、マイクロ法人を作ったものの、数年で畳む方はいます。畳むこと自体が悪いのではありません。問題は、畳むまでの間に時間・お金・精神力を削られてしまうことです。

よくある誤算はだいたい三つです。

①維持コスト

利益が出ていなくても、毎年かかる税金があります。代表例が法人住民税の均等割です。さらに、会計・申告・年末調整・法定調書・社会保険など、事務も増えます。結果、税理士費用も個人より重くなりがちです。

②事務負担

「経理くらい自分でできる」と言う社長ほど危ない。社長の時間は有限で、最も高い資源です。経理を頑張りすぎて、本業の営業・商品・採用が鈍る。これが一番の損です。

③制度の“空気”を読み違える

マイクロ法人は、税務だけでなく社会保険とも絡みます。制度は、社会状況や行政運用のトレンドで“見られ方”が変わります。「今はこれが流行っている」という理由だけで突っ込むと、後からの運用変更や制度自体の改編で痛い目を見ることがあります。


ネットの「自称専門家」にご用心

最近、「ディズニーも外食も全部経費!」みたいな派手な発信が目立ちます。はっきり言います。それは節税ではなく、脱税の入口です。

経費は「事業との関連性」と「説明可能性」が命です。税務調査で否認されたら、追徴課税だけでは済まないこともあります。さらに厄介なのは、発信者は責任を取らないということ。最後に矢面に立つのは社長です。

中小企業の経営は、派手な一発より、地味な積み上げが結局強い。これは、数多くの会社の栄枯盛衰を見てきて、私が確信しているところです。


経営者が見るべきは「手残り」ではなく「利益の意味」

社長が本当に向き合うべきは、「裏ワザで手残りを増やす」ことより、利益を出せる経営システムを強くすることです。

利益は単なる結果ではなく、経営の健康診断です。乱暴に言えば、利益が出ている会社は、お客様に価値を認められ、内部のやり方も大きくは間違っていない可能性が高い。逆に、利益が薄い状態でテクニックだけを盛ると、会社の体力は落ちていきます。

マイクロ法人化を検討するなら、まず問うべきはここです。

「この法人は、何の付加価値を生み、誰に喜ばれるのか?」

箱だけ作って中身が薄いなら、そこに未来はありません。


私からのアドバイス:判断は「設計図」から

もしマイクロ法人を検討するなら、「得するかどうか」ではなく、次の設計図を作ってください。

  • 設立後の年間固定コスト(均等割、顧問料、社会保険、事務コスト)

  • 社長の作業時間(経理・手続きに何時間吸われるか)

  • 事業実態(誰に何を売り、どうやって利益を出すか)

  • リスク(税務・社保・資金繰り・出口戦略=畳み方)

この設計図を作った上で、「それでも会社を分ける意味がある」と言えるなら、やる価値はあります。逆に、設計図が描けない段階では、まだ時期ではありません。

「楽して得する」という言葉には、必ず裏があります。中小企業の経営は、地に足のついた改善と、数字を直視する姿勢が最後に勝ちます。もし迷われたら、数字の裏側まで含めて一緒に整理しましょう。社長にとっての“本当の正解”を探すお手伝いをします。

 
 
 

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