1枚の帳簿が歴史を変えるーフランス絶対王政に学ぶ「会計記録」の光と影
- tomohiro adachi
- 13 時間前
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「会計」と聞くと、多くの人が「事務的で退屈な作業」を思い浮かべるかもしれません。しかし、歴史を紐解くと、会計は国家を繁栄させる最強の武器であり、時には王朝を揺るがす爆薬にもなりました 。
17世紀から18世紀のフランス・ブルボン王朝の物語を通じて、現代のビジネスにも通じる「記録の重要性」と「透明性の本質」を考えてみましょう。
1. 太陽王のポケットに入っていた「最強の武器」
ヴェルサイユ宮殿を築いたルイ14世の時代、フランスの財政は存亡の機にありました 。彼を支えたのは、会計の天才コルベールです 。
コルベールは、それまでバラバラだった国家の財政に「秩序」を持ち込みました 。
ルイ14世のために、上着のポケットに入るサイズの赤い革表紙の「携帯用帳簿」を作りました 。国王に国がおかれた状況を数字で「見える化」できるよう徹底しようとしたのです。
王はこの帳簿を自ら開き、国の収入と支出を1円単位(当時の単位はリーヴル)で把握することで、自ら財政に取り組む喜びを感じるようになったのです 。国王がいわば”経営者”としての目覚めたような状況だったのです。
またコルベールは会計記録を武器に、公金を横領していた政敵フーケの不正を暴き、破滅に追い込みました。
コルベールが持ち込んだ会計というシステムは、フランスを大きく変えてゆきます。
現代の企業経営においても、正確な会計記録は「経営のヘッドライト」です。現状を正しく把握できなければ、どこに進むべきかの決断を下すことはできません。
2. 「不都合な数字」を隠した時に崩壊が始まる
しかし、コルベールが亡くなると事態は一変します。ルイ14世は、赤字ばかりを突きつけてくる「口うるさい帳簿」に嫌気が差し、情報を遮断してしまいました 。
後継の大臣たちは保身のために情報を隠し、互いに反目し合うようになりました 。
さらにはコルベールが会計業務を独占していたので、彼の死後は財政の全体像が誰にもわからなくなり、フランス国家は75年間に及ぶ長期的な停滞と危機へと突き進んでいきました 。
これは現代の組織でも同じです。リーダーが不都合な数字から目を背け、部署間で情報が断絶されたとき、組織は「健康診断」を拒否した患者のように、内部から蝕まれていきます。
3. 爆発した民衆の怒り:透明性が欠如した末路
その後、崩壊寸前の財政を救うべく現れたのがスイスの銀行家ネッケルです 。彼は1781年、フランス史上初めて国家の収支を国民に公開する『国王への会計報告』を出版しました 。
公開された数字は、民衆が飢えに苦しむ一方で、特権階級の貴族が国の富を独占している歪んだ構造を白日の下にさらしました 。
この公表された数字が世論を動かしました。 それまで神秘のベールに包まれていた王家の家計が「冷徹な数字」で表現されたことで、民衆の怒りに火がつきました 。
さらにその後、王がこの情報公開を快く思わず、ネッケルを罷免したことが直接の引き金となり、バスティーユ襲撃、そしてフランス革命へと繋がったのです 。
結論:会計は「未来を創るコンパス」である
フランス絶対王政の崩壊は、「不透明な会計がいかに信頼を壊し、組織を破滅させるか」を教えてくれます。
会計は単なる計算ではありません。
現状を直視する誠実さ
不正を許さない規律
信頼を築くための透明性
これらを備えた「生きた記録」こそが、企業であれ国家であれ、持続可能な未来を築くための唯一のコンパスなのです。









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