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資金繰りが苦しい会社が最初にやるべきこと|中小企業の資金繰り改善7ステップ

  • 11 分前
  • 読了時間: 13分


「売上はある。決算も黒字。それなのに、なぜ会社にお金が残らないのか」

資金繰りに悩む中小企業では、このようなことが珍しくありません。

利益と現金は同じではありません。売掛金、在庫、借入金返済、設備投資などによって、黒字でも資金不足になることがあります。

この記事では、資金繰りが苦しくなる原因と、経営者が最初に確認すべき数字、そして資金繰りを改善するための7つのステップを具体的に解説します。


結論|資金繰り改善で最初にやるべきこと

資金繰りが苦しくなったときに、経営者が最初にすべきことは、

「あと何か月会社を維持できるのか」を数字で把握すること

です。

そのためには、最低でも今後6か月程度の資金繰り表を作ります。

そして次の順番で確認します。

  1. 現預金はいくらあるか

  2. 毎月いくら入金されるか

  3. 毎月いくら支払うか

  4. 借入金返済はいくらあるか

  5. 売掛金の回収は遅くないか

  6. 在庫を持ちすぎていないか

  7. 粗利益は十分に確保できているか

重要なのは、

「銀行からいくら借りられるか」から考えないことです。

融資は重要な手段ですが、会社そのものの資金構造が悪ければ、借入を増やしても問題を先送りするだけになる場合があります。

資金繰りとは何か

利益と現金は違う

資金繰りとは、簡単にいえば、

「会社に入ってくるお金と、出ていくお金を管理すること」

です。

会社経営では、

利益が出るタイミング

現金が動くタイミング

が一致しません。

例えば100万円の商品を販売しても、入金が2か月後なら、今日100万円のお金が入るわけではありません。

反対に、商品の仕入代金や給与、家賃、借入金返済などは先に支払わなければならないことがあります。

この時間差によって資金繰りが発生します。

黒字でも会社は資金不足になる

「利益が出ていれば会社は大丈夫」

という考え方には注意が必要です。

会社は利益がなくなった瞬間に倒産するわけではありません。

支払うべき日に現金を用意できなくなったとき、会社経営は行き詰まります。

いわゆる「黒字倒産」が起きるのもこのためです。


資金繰りが苦しくなる7つの原因

1.売掛金の回収が遅い

売上が増えているにもかかわらず資金繰りが苦しい会社で、まず確認したいのが売掛金です。

例えば、

毎月1,000万円売り上げている会社で、

  • 仕入・給与等は当月払い

  • 売上代金は2か月後入金

という条件なら、売上が増えるほど先に必要となる運転資金も増えます。

つまり、

売上増加=資金繰り改善

とは限りません。

急成長している会社ほど資金繰り管理が重要になります。

2.在庫を持ちすぎている

在庫も資金繰りを悪化させる代表的な原因です。

商品を100万円仕入れた時点では、会計上は100万円すべてが費用になるとは限りません。

しかし現金はすでに100万円出ていきます。

倉庫に商品が積み上がっているということは、

会社の現金が在庫という形に変わっている

ということです。

売れない在庫が増え続ければ、利益が出ていても会社のお金は減っていきます。

3.借入金の返済額が大きすぎる

ここは経営者が特に理解しておきたいポイントです。

借入金を返済しても、原則として返済元本は損益計算書の経費にはなりません。

例えば、

税引後利益 500万円

借入元本返済 1,000万円

という会社なら、単純化すれば、

利益は500万円出ているのに、返済だけで現金が1,000万円減る

ことになります。

したがって、

利益だけを見て借入金返済能力を判断してはいけません。

減価償却費や設備投資なども含めてキャッシュフローを見る必要があります。

「借金は少ないほど良い」とは限らない

中小企業経営者の中には、

「借金は早く返した方がいい」

と考える方も多いでしょう。

もちろん不要な借入を増やす必要はありません。

しかし、

借金を減らしすぎて会社の現預金まで減らしてしまう

ことにも問題があります。

例えば、

預金3,000万円借入金3,000万円

という会社が、預金2,000万円を使って一気に返済すると、

預金1,000万円借入金1,000万円

になります。

借金は減りました。

しかし、急な売上減少や設備故障が発生した場合に使える現金も1,000万円しかありません。

会社経営では、

借入金残高だけでなく、手元流動性を確保すること

も重要です。

4.利益率が低い

資金繰り改善というと、

「売上を増やそう」

と考えがちです。

しかし重要なのは売上よりも、

粗利益

です。

売上が1億円でも粗利益率10%なら、粗利益は1,000万円です。

一方、

売上5,000万円でも粗利益率40%なら、粗利益は2,000万円です。

会社は売上高そのものから、

  • 給与

  • 家賃

  • 広告費

  • 支払利息

  • その他固定費

を支払うわけではありません。

粗利益から固定費を支払います。

したがって資金繰りを見るときには、売上高だけではなく粗利益率・粗利益額を見る必要があります。

5.固定費が大きすぎる

売上が多少下がっただけで急激に資金繰りが悪化する会社は、固定費が大きすぎる可能性があります。

代表的な固定費は、

  • 人件費

  • 地代家賃

  • リース料

  • システム利用料

  • 保険料

  • 顧問料

などです。

重要なのは、

「削れる経費を全部削る」ことではありません。

経費削減によって売上や会社の競争力まで落としてしまっては意味がありません。

まず、

売上に貢献している経費と、ほとんど成果を生んでいない経費

を分けることが重要です。

6.設備投資が大きすぎる

設備投資も利益と現金が大きくずれる原因になります。

例えば1,000万円の機械を現金で購入しても、会計上は通常、その年に1,000万円全額が費用になるわけではありません。

減価償却によって複数年に分けて費用化されます。

しかし、

現金は購入時に1,000万円減ります。

そのため、

「利益は出ているのに預金が減った」

ということが起こります。

大型投資を行う場合には、

  • 自己資金

  • 銀行借入

  • リース

  • 投資回収期間

などを事前に検討する必要があります。

7.税金・社会保険を資金繰りに入れていない

意外に多いのが、

税金を資金繰り表に入れていない会社

です。

法人税、消費税、源泉所得税、社会保険料などは一定時期にまとまった支払いが発生します。

特に消費税は、

会社の利益とは別に資金流出する

ため注意が必要です。

決算時に初めて、

「消費税がこんなにあるとは思わなかった」

となるのでは遅い場合があります。

月次段階から納税予測を行い、その金額を資金繰りに組み込むことが重要です。


資金繰りを改善する7つのステップ

ここから、実際の改善手順を説明します。

STEP1|まず資金繰り表を作る

最優先で行うべきことです。

最低でも、

今後6か月

可能であれば、

今後12か月

の資金繰り表を作ります。

完璧な表である必要はありません。

重要なのは、

何月にいくら足りなくなるのかを事前に知ること

です。

2026年版中小企業白書では、資金繰り計画を策定する効果として、

  • 資金不足時期の把握

  • 収支見通しの精度向上

  • 資金調達判断の最適化

  • 急な支払いへの対応力向上

  • 金融機関等への説明力向上

などが挙げられています。

特に「資金不足時期の把握」は59.4%と最も高くなっています。

簡単な資金繰り表の作り方

複雑なシステムは必要ありません。

最初はExcelやGoogleスプレッドシートでも十分です。

現金出納帳、預金通帳をみながら、例えば次のように作ります。

最初、現金がむずかしければ預金通帳(インターネットバンクから取った入出金CSV)でもOKです。

項目

9月

10月

11月

月初現金

1,000万円

850万円

650万円

売上入金

800万円

900万円

1,000万円

その他入金

0万円

0万円

0万円

入金合計

800万円

900万円

1,000万円

仕入支払

▲300万円

▲350万円

▲400万円

人件費

▲250万円

▲250万円

▲250万円

その他経費

▲150万円

▲150万円

▲150万円

借入返済

▲100万円

▲100万円

▲100万円

税金

▲150万円

▲250万円

0万円

月末現金

850万円

650万円

750万円

この表があるだけで、

「10月に預金が650万円まで減る」

ことを事前に把握できます。

これが資金繰り管理の第一歩です。

STEP2|売掛金の回収条件を確認する

次に、

売上から入金までの日数

を確認します。

例えば、

「月末締め翌々月末払い」

「月末締め翌月末払い」

へ変更できれば、約1か月分の運転資金を減らせる場合があります。

新規取引では、

契約時点で回収条件を決めることも重要です。

STEP3|在庫を減らす

在庫については、

  • 長期間動いていない商品

  • 過剰発注している商品

  • 利益率の低い商品

  • 廃棄予定の商品

を洗い出します。

在庫回転期間を確認すると、

何か月分の商品を抱えているのか

が分かります。

在庫を減らすことができれば、会社の現金を増やす効果があります。

STEP4|粗利益を改善する

単純な経費削減には限界があります。

資金繰りを根本的に改善するには、

粗利益を改善すること

が非常に重要です。

具体的には、

  • 値上げ

  • 低採算商品の見直し

  • 仕入条件の改善

  • 高粗利商品への集中

  • 不採算顧客との取引条件見直し

などを検討します。

例えば売上1億円の会社が粗利益率を30%から32%に改善すると、

粗利益は、

3,000万円 → 3,200万円

となり、

年間200万円改善

します。

売上を増やさなくても利益と資金繰りを改善できる可能性があります。

STEP5|借入金の返済条件を確認する

借入金については、

「借入残高」

だけではなく、

年間元本返済額

を確認します。

例えば年間キャッシュ創出力が800万円なのに、元本返済が1,200万円なら、単純計算では毎年400万円ずつ資金が減っていきます。

この場合、

  • 借換え

  • 返済期間の見直し

  • 新規融資

  • 複数行への相談

などを検討する必要があります。

ただし、融資条件は企業の財務内容や金融機関の審査によって異なります。


銀行への相談は「お金がなくなる前」に行う

資金繰りで非常に重要なのが、

金融機関に相談する時期

です。

預金がほとんどなくなってから、

「来月払えないので貸してください」

と相談するより、

6か月前から、

「半年後に設備投資と納税が重なり資金が減るため、今から資金調達を検討しています」

と説明する方が、金融機関としても検討しやすくなります。

つまり、

資金繰り表は社内管理だけでなく、金融機関への説明資料にもなる

ということです。

2026年版中小企業白書でも、資金繰り計画の効果として「金融機関等への説明力向上」が挙げられています。

STEP6|設備投資を見直す

設備投資を検討するときは、

「買えるか」

ではなく、

「投資した資金を何年で回収できるか」

を見ることが重要です。

例えば1,000万円投資して年間100万円しか利益改善しないなら、単純計算では10年かかります。

一方で年間500万円改善するなら2年です。

設備投資では、

投資額 ÷ 年間キャッシュ増加額

という簡単な方法でも、投資回収期間を確認できます。

STEP7|毎月、貸借対照表を見る

資金繰りを改善したい経営者には、損益計算書だけでなく、

貸借対照表(B/S)

を毎月見ることをおすすめします。

特に見るべき項目は、

  • 現預金

  • 売掛金

  • 棚卸資産

  • 買掛金

  • 借入金

  • 純資産

です。

2026年版中小企業白書では、貸借対照表を「活用している」と回答した企業の方が、活用していない企業と比べて資金繰りに余裕がある傾向が示されています。

資金繰りは銀行口座だけを眺める管理ではありません。

貸借対照表を使って会社のお金がどこにあるのかを把握すること

が重要です。


会社は現預金をいくら持っておけばいいのか

これは業種や会社の状況によって異なるため、一律には決められません。

ただし経営者としては、

「売上が突然止まった場合、何か月固定費を払えるか」

という視点で考えることが重要です。

例えば、

月間固定費500万円現預金1,500万円

なら、

単純計算では約3か月分です。

現預金3,000万円なら約6か月分です。

このように、

手元資金 ÷ 月間固定費

を計算してみるだけでも、自社の安全性を把握する一つの参考になります。

ただし必要資金は、

  • 業種

  • 売掛金回収期間

  • 在庫期間

  • 借入返済額

  • 季節変動

  • 設備投資計画

などによって大きく異なります。


資金繰りが危険な会社に見られる5つの兆候

次のような状態が続いている場合には注意が必要です。

1.毎月、預金残高だけを見ている

将来の入出金を予測していない状態です。

2.納税前になると慌てて資金を準備する

税金を資金繰り計画に織り込めていません。

3.賞与を借入金で払っている

一時的なら問題ない場合もありますが、毎年繰り返しているなら収益構造を確認する必要があります。

4.借入金返済のために借入を続けている

正常な借換えとは別に、返済資金を恒常的に新規借入で補っている場合には注意が必要です。

5.売上が増えているのに預金が減っている

売掛金・在庫・設備投資・返済負担などを確認する必要があります。


資金繰り改善は「売上を増やす」だけではない

経営者から、

「資金繰りを良くするには売上を増やすしかないですよね」

と相談されることがあります。

しかし、そうとは限りません。

資金繰り改善には、

入金を早くする

支払い条件を見直す

在庫を減らす

粗利益率を上げる

返済期間を適正化する

不要な投資を減らす

という複数の方法があります。

つまり、

売上を増やさなくても資金繰りを改善できる場合がある

のです。


売上より「キャッシュフロー」を見る経営へ

経営者が見るべき数字を、

「今月いくら売ったか」

だけにしてはいけません。

少なくとも、

売上

粗利益

営業利益

キャッシュフロー

現預金残高

まで見る必要があります。

会社が長期的に存続するために最も重要なのは、

利益を出し、その利益を最終的に現金として会社に残すこと

です。

これが資金繰り経営の基本です。


6. よくある質問

Q1.黒字なのに資金繰りが苦しくなることはありますか?

あります。

売掛金の増加、在庫増加、設備投資、借入金元本返済などは、損益計算書上の利益と現金の動きをずらします。

そのため黒字でも現預金が減ることがあります。

Q2.資金繰り表は毎日作る必要がありますか?

通常の中小企業であれば、まずは月次管理から始めて構いません。

ただし資金繰りが厳しい場合には、週次や日次で管理する必要がある場合もあります。

重要なのは、実績だけでなく将来の資金残高を予測することです。

Q3.借入金はできるだけ早く返した方がいいですか?

必ずしもそうではありません。

借入金を返済しすぎて手元資金が不足すれば、経営の安全性が低下する場合があります。

借入残高、返済額、営業キャッシュフロー、現預金残高を総合的に判断する必要があります。

Q4.資金繰りが苦しくなったら、まず銀行に相談すべきですか?

金融機関への相談は重要ですが、その前に資金繰り表を作り、

  • いつ

  • いくら

  • なぜ

資金が不足するのかを把握することが重要です。

その数字をもとに金融機関へ相談する方が、説明もしやすくなります。

Q5.会社はいくら現金を持っておけば安心ですか?

一律の基準はありません。

固定費、回収サイト、在庫、借入返済、業種、季節変動などによって必要な手元資金は異なります。

まず「現在の現預金で固定費を何か月支払えるか」を計算してみると、自社の安全性を考える出発点になります。


まとめ|資金繰りは「会社のお金の未来」を見る経営管理

資金繰り改善で最も重要なのは、

お金がなくなってから対策するのではなく、なくなる前に対策すること

です。

そのためには、

  1. 資金繰り表を作る

  2. 売掛金を確認する

  3. 在庫を減らす

  4. 粗利益を改善する

  5. 借入金返済を確認する

  6. 設備投資を管理する

  7. 貸借対照表を毎月見る

という流れで会社の数字を確認します。

特に大切なのは、

利益と現金を分けて考えること

です。

会社は利益だけでは存続できません。

利益を生み出し、その利益を現金として会社に残していく。

その仕組みをつくることが、中小企業の安定経営につながります。


7. 「利益は出ているのにお金が残らない」という経営者の方へ

資金繰りの問題は、

「融資を受ければ解決する」

とは限りません。

売掛金、在庫、粗利益、借入金返済、設備投資、税金などを一緒に確認すると、会社のお金が減っている原因が見えてきます。

いちご会計事務所では、税務申告だけではなく、

  • 月次業績管理

  • 資金繰り予測

  • 予算実績管理

  • 粗利益・コスト分析

  • 借入金返済計画

  • 経営会議

  • 経営判断のための数字の整理

など、経営者が数字を使って意思決定できる体制づくりを支援しています。

「このまま返済を続けて大丈夫なのか」「会社にはいくら現金を残すべきなのか」「利益が出ているのに、なぜ預金が増えないのか」

と感じている場合には、一度会社の資金の流れを整理してみることをおすすめします。

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