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利益は幻想、キャッシュは現実 ― 会社を強くする財務戦略

  • 1月27日
  • 読了時間: 3分

「借金」は悪なのか?貸借対照表の真実

今回は、経営者の皆様が少し苦手とされることが多い「貸借対照表(B/S)」について、少し違った視点でお話ししたいと思います。

決算書の説明をするとき、多くの経営者の方は「損益計算書(P/L)」の売上や利益には非常に興味を持たれますが、貸借対照表になると、「ああ、それは銀行が見るものでしょう」と、少し関心が薄れることがありませんでしょうか? しかし、会社を潰さない、永続させるという観点において、本当に重要なのは貸借対照表なのです。


資産は「運用」であり、負債は「調達」である

貸借対照表は、左側に「資産」、右側に「負債」と「純資産」が並んでいます。 一般的に、「資産」が多いことは良いことだと思われがちです。しかし、中小企業の経営現場においては、必ずしもそうとは言い切れません。

なぜなら、資産の部にある「売掛金」や「在庫(棚卸資産)」、そして「固定資産」は、すべて「お金が形を変えて寝ている状態」だからです。 売掛金はお客様にお金を貸しているのと同じですし、在庫はお金が商品に変わって倉庫に眠っている状態です。これらが増えれば増えるほど、手元の「現預金」は減っていきます。

以前のコラムでも書きましたが、「利益は幻想、キャッシュは現実」です。 経営において最も強い武器となるのは、形を変えてしまった資産ではなく、いつでも使える「現預金」なのです。


借入金は経営を守る「武器」

一方で、右側の「負債」、特に銀行からの「借入金」についてはどうでしょうか。 「無借金経営が良い経営だ」「借金は早く返さなければならない」と考える経営者の方は多いです。もちろん、借金なしで潤沢な資金があるなら、それに越したことはありません。

しかし、成長過程にある企業や、不測の事態に備えたい企業にとって、借入金は決して「悪」ではありません。むしろ、借入金は会社を守るための「資金調達」の手段であり、経営を安定させるための「武器」となり得るのです。

松下幸之助翁は「ダム式経営」を説きました。川にダムを作り、水を貯めておくことで、日照りの時でも安定して水を供給できる。経営にもそのような余裕が必要だという教えです。 この「ダムの水」こそが「現預金」です。 もし、自社の利益(純資産)だけでダムの水がたまらないのであれば、銀行から借り入れてでも水を貯め、手元の現預金を厚くしておく。これこそが、不況や危機に負けない強い財務体質を作ることにつながります。


自己資本比率の罠

銀行は格付けのために「自己資本比率」を気にしますが、経営者が見るべきは、比率の数字よりも「手元にいくら現金があるか」です。 内部留保(利益剰余金)がたくさんあっても、それがすべて在庫や回収できない売掛金に変わっていたら、黒字倒産のリスクさえあります。逆に、借入金が多くて自己資本比率が低くても、現預金が潤沢にあれば、会社は潰れません。

また、意外な視点ですが、あまりに純資産(株価)を上げすぎると、将来の事業承継の際に多額の税金がかかり、後継者を苦しめることにもなりかねません。バランスが重要なのです。


現金を最大化する経営へ

今回の雑感でお伝えしたいのは、以下の3点です。

  1. 無駄な資産は持たない:在庫や売掛金はなるべく減らし、現預金に変える。

  2. 借入金を恐れない:借入は現金を増やすための調達手段。無理に返して手元資金を枯渇させない。

  3. 現預金の最大化を目指す:見かけの比率よりも、実質のキャッシュを重視する。

会社を存続させ、従業員と家族を守るためには、綺麗ごとの数字合わせではなく、泥臭くても「現預金」というリアリティを追求する姿勢が必要です。 今一度、皆様の会社の貸借対照表を、「現預金は十分か?」という視点で見直してみてはいかがでしょうか。

 
 
 

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