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税理士との月次面談で何を話す?業績報告を経営判断に変える5つの質問

20 時間前
読了時間: 7分

「毎月、税理士から試算表の説明を聞いている。でも、面談が終わっても何を変えればよいのか分からない」


そんなときは、面談で使う質問を変えてみてください。確認したいのは、利益の変化、資金の見通し、改善の優先順位、投資判断、そして次回までの行動です。数字を理解するだけでなく、社長が一つの判断を持ち帰る。そこに月次面談の価値があると私は考えています。


月次面談の目的を「次の行動を決める」に置く


売上がいくらで、利益がいくらだったか。正確な報告は欠かせません。ただ、結果の確認だけでは、翌月の会社の動きは変わりません。


例えば「粗利益率が下がりました」と分かったら、値引きが増えたのか、仕入単価が上がったのか、利益率の低い商品の割合が増えたのかを確かめます。原因によって、見直す仕事が違うからです。


私は、会計の数字を経営者の成績表だけにしてしまうのは、もったいないと思っています。数字から課題を見つけ、現場の事情と結び付け、次の一手を考えるために使いたいのです。


ただし、月次面談の頻度や経営分析の範囲は顧問契約によって異なります。資金繰り予測や商品別分析まで必要な場合は、資料、役割分担、追加費用の有無を事前に確認してください。


質問1「利益が変わった一番の理由は何ですか?」


最初の質問は、利益の増減の原因です。「前月より利益が減りました」で止めず、何の変化が最も大きく影響したのかを尋ねます。比較する期間をそろえ、前年同月や計画との差も確認しましょう。


ここで、税抜金額を使った仮定の月次例を考えます。売上高は前月も当月も1,000万円。粗利益率が30%から27%に下がり、販売費及び一般管理費が250万円で変わらなかったとします。


前月の粗利益は300万円、営業利益は50万円です。当月は粗利益270万円、営業利益20万円。売上が同じでも、粗利益率が3ポイント下がると、営業利益は30万円減ります。


この例で、すぐに「経費を削ろう」と決めるのは早計です。先に売上原価や商品の構成を調べたほうが、問題の中心に近づけます。在庫や未払費用の計上漏れなど、月次の数字が比較できる状態かも確認が必要です。


社長からは「今月は特売品の注文が多かった」「材料の仕入価格が上がった」といった現場の情報を伝えてください。試算表だけでは見えない事情が、原因を絞る手掛かりになります。


数字の基本的な確認順は、関連記事「月次試算表の見方」で整理しています。


質問2「この先3か月で、資金が最も少なくなるのはいつですか?」


利益の確認と併せて、現預金の動きを見ます。月末の預金残高に余裕があっても、売掛金の入金より先に仕入代金、賞与、納税、借入返済が重なることがあります。


確認したいのは、「いま、いくらあるか」だけでなく、「いつ、どれだけ減る見込みか」です。まず3か月程度を具体的に確認し、設備投資や季節変動が大きい会社では、その先まで見通します。月末残高だけで不安が残る場合は、月中の支払日ごとにも確認します。


面談には、入出金予定、借入返済予定、納税見込み、大きな支出の予定を用意します。税理士がすべて把握していると思わず、未確定の設備購入や採用計画も共有してください。


資金が不足しそうなら、回収・支払いの予定を確認し、投資時期や調達方法を検討します。取引先との合意が必要な条件変更を、社内の都合だけで決めないことも大切です。


利益と現金がずれる理由は、「黒字なのにお金がない7つの理由」も参考になります。


質問3「今月、最優先で改善することを一つ挙げるなら何ですか?」


数字を詳しく見るほど、課題は増えていきます。しかし、人も時間も限られる中小企業では、すべてに同時に取り組むことはできません。


そこで、利益や資金への影響、着手のしやすさ、放置した場合の影響を比較し、一つの優先課題を決めます。粗利益率の低下が大きければ、特定商品の販売条件を見直す。入金遅延が資金を圧迫していれば、請求と回収の管理を整える、といった具合です。


「売上を増やす」「経費を減らす」という大きなくくりでは、現場は動きにくいものです。「値引きが多い上位5商品について、販売単価と仕入単価を確認する」まで具体化すれば、着手しやすくなります。


もちろん、資金不足が迫るなど緊急性の高い問題は優先します。一つに絞ることは、ほかの重要な問題を放置するという意味ではありません。今月どこに力を集中するかを、社長と税理士でそろえるための質問です。


質問4「採用や設備投資をすると、利益と資金はどう変わりますか?」


月次面談では、過去の報告に加えて、これから決めることを相談してください。採用、設備購入、広告費の増額などは、契約後に報告するより、判断前に検討するほうが選択肢を残せます。


例えば採用なら、給与だけでなく会社負担の社会保険料、採用費、教育期間も含めて見積もります。そのうえで、どの業務を任せ、いつから、どの程度の利益や生産性の改善を見込むのかを考えます。


設備投資では、購入時の支出と、損益に費用として表れる時期が一致しないことがあります。借入を使う場合も、借入金の返済と費用は同じものではありません。利益の見通しと資金繰りの見通しを分けて確認する必要があります。


売上や効果は、予定どおりになるとは限りません。想定どおりの場合に加え、効果が遅れた場合にも支払いを続けられるかを確かめます。税理士には数字の整理と選択肢の比較を求め、顧客の反応や現場の実行力を踏まえた最終判断は社長が行います。


質問5「次回までに、誰が、何を、いつまでに行いますか?」


面談の最後は、実行の確認です。「改善が必要ですね」で終わると、忙しい日常に戻った瞬間に後回しになりがちです。


記録する内容は、課題、実行内容、担当者、期限、確認する数字です。例えば次のように決めます。これは進め方を示す仮定例です。


  • 課題:特定商品の値引きが増え、粗利益率が下がっている。

  • 実行内容:対象5商品の販売単価・数量・仕入単価を一覧にする。

  • 担当と期限:営業責任者が翌月5日までに整理し、社長が販売条件の見直し案を検討する。

  • 次回の確認:値引率、販売数量、粗利益額を確認する。


単価だけを上げて販売数量が大きく落ちれば、粗利益額が減る可能性もあります。行動したかどうかに加え、狙った効果が出たかを見ることが重要です。


結果が想定と違っても、責任追及だけに終始してはいけません。仮説のどこが違ったのかを考え、次の対応を修正する。その積み重ねが、会社の判断力になります。


面談前の準備で、対話は深くなる


面談前には、直近の試算表と比較資料、入出金・返済の予定、大きな経営判断の候補を共有します。加えて、社長が気になっていることを三つ程度、短く書いて送ることをおすすめします。


「受注は増えたが現場が忙しい」「特定の取引先からの注文が減った」といった言葉も、有効な情報です。税理士が数字から見つけた変化と、社長が現場で感じた変化を持ち寄ることで、相談の中身が深まります。


数字がまだ確定していない項目は、その旨を明らかにします。推測を確定値として扱わず、何を追加確認すれば判断できるのかまで決めておくと、面談後の仕事も進めやすくなります。


次回の面談では、一つの判断を持ち帰る


月次面談の充実度は、説明された資料の枚数だけでは測れません。社長が問題の構造を理解し、次に変える行動を決められたかが大切です。


次回は「利益が変わった理由」「資金が減る時期」「改善の優先順位」「投資後の見通し」「担当と期限」の五つを、議題にしてみてください。すべてを一度に整えられなくても、まず一つの課題と一つの行動が決まれば、面談は変わり始めます。


いちご会計事務所では、経営強化型税務顧問を通じ、数字を経営の判断と実行につなげる支援を重視しています。月次面談や業績管理の進め方を見直したい方は、現在の課題を添えてお問い合わせください。支援内容・条件は個別にご確認いただけます。


数字を見る時間を、会社の次の一歩を決める時間にしていきたいと思います。


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