車は安く買うより、上手に持つ 一括・ローン・リースを経営目線で考える
- 39 分前
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──「安い買い方」より、「会社に合う持ち方」を考える
経営者の方から、時々こんな相談を受けます。
「車を買い替えたいのですが、一括がいいですか、ローンがいいですか、それともリースですか?」
この問いに対して、私はいつも、「どれが一番得か」だけで決めてはいけません、とお答えしています。
なぜなら、車の持ち方は、単なる支払方法の違いではなく、資金繰り、節税、銀行からの見え方、そして会社の経営姿勢にまで関わってくるからです。
私は、車の買い方とは、言い換えれば「会社が何を優先するか」を選ぶ行為だと思っています。
まず、一括購入です。
一括購入の一番の長所は、やはり総支払額を抑えやすいことです。利息やリース料が上乗せされにくいため、単純な支払総額で見れば有利になりやすいのは自然なことです。ただし、税務上は、車を買った年に全額が経費になるわけではありません。通常は減価償却資産として処理し、法定耐用年数に応じて費用化していくことになります。一般用の自動車の耐用年数は用途や車種で異なりますが、たとえば普通乗用車は通常6年とされます。
ここで大事なのは、お金が出ていくタイミングと、経費になるタイミングは違うということです。
たとえば、手元資金が十分にある会社なら、一括購入は悪い選択ではありません。しかし、利益は出ていても現金が薄い会社、あるいは今後人件費上昇や仕入高騰が見込まれる会社が、車で現金を大きく減らすのは、私はあまり得策とは思いません。
経営においては、黒字かどうかも重要ですが、それ以上に「明日払えるか」が重要です。資金繰りは、会社の体温のようなものだからです。
次にローンです。
ローンの良さは、現金を手元に残しながら車を導入できることです。特に中小企業では、急な仕入、賞与、設備修繕、取引先の入金遅れなど、予定外の資金需要が必ず起きます。そういう意味では、現金を厚めに持ちながら、必要な投資は進めるという考え方に合っています。
しかも、税務上は、単にローン払いだから毎月全額経費になるわけではなく、車両本体は購入資産として減価償却していくのが基本です。つまり、支払は分割でも、税務は資産計上が基本です。
この点は、勘違いが非常に多いところです。
たとえば、建設業の社長が600万円の車をローンで買ったとしても、「毎月の支払額がそのまま全部経費になる」という理解では危ないのです。会計と資金繰りは、似ているようで別物です。
もっとも、ローンには負債が乗りますから、貸借対照表の見え方は重くなります。銀行は損益計算書だけでなく、貸借対照表も見ます。ですから、借入依存度が高い会社や、これから新規融資を受けたい会社にとっては、ローンが必ずしも最善とは限りません。
では、リースはどうでしょうか。
リースの魅力は、月々の支払が平準化しやすく、管理もしやすいことです。車検や税金、メンテナンスまで含めた契約であれば、資金繰りの見通しはかなり立てやすくなります。営業車が複数台ある会社や、訪問系サービス業のように「止めてはいけない車」がある会社には、実務上かなり相性が良い方法です。
ただし、ここは非常に重要ですが、リースは全部が単純な経費処理になるとは限りません。契約内容によっては、税務・会計上、売買があったものとして扱われ、リース資産計上と償却が必要になる場合があります。 国税庁も、所有権移転外リース取引については、賃借人が取得したものとされるリース資産として扱い、リース期間定額法で償却するとしています。
つまり、「リースならオフバランスで簡単」と決めつけるのは危ないということです。
また、総支払額では、一括購入より高くなることが多いでしょう。便利さ、資金繰りの安定、管理のしやすさに対して、コストを払っているとも言えます。
では、結局どれを選べばよいのか。
私は、こう考えています。
手元資金が厚く、総額を抑えたい会社は一括
資金を残しつつ、早めに投資判断をしたい会社はローン
毎月の資金繰りを安定させ、管理の手間を減らしたい会社はリース
というのが大まかな目安です。
ただし、本当に大切なのは、税金の得だけで選ばないことです。
車は、社長の趣味で選ぶこともあるでしょう。それ自体が悪いとは思いません。経営者にも楽しみは必要です。しかし、会社のお金で持つ以上、その車は会社の経営思想を映す鏡にもなります。
資金繰りが苦しいのに見栄で高級車を持つ。逆に、利益は十分なのに過度に守りに入って現場の生産性を落とす。どちらも、私はあまり良い経営判断とは思いません。
大事なのは、会社の今の財務状況と、今後3年ほどの資金需要を見たうえで、「この車の持ち方は自社の経営に合っているか」と考えることです。
車の選び方には、社長の経営観が出ます。だからこそ、安いか高いかだけでなく、その選択が会社の未来にとって合理的かを考えていただきたいのです。
そういう意味では、車選びもまた、小さな経営判断の一つなのだと思います。





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