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福岡で2店舗目を出す前に|社長が確認したい採算と資金繰りの5項目

22 時間前
読了時間: 6分

「1店舗目が軌道に乗ったので、次の店を出したい」。事業を育てるうえで自然な発想です。ただ、今の店が黒字だからといって、2店舗目も同じように利益が出るとは限りません。


出店前には、既存店の再現性、新店の採算、開業資金、開業後の資金繰り、見直し基準の5つを確認しましょう。大切なのは、店舗数を増やしたあとに、会社全体の利益と現金がどう変わるかです。


1.既存店は、社長が抜けても利益を残せるか


最初に確認するのは新しい物件ではなく、現在の店です。社長が接客、営業、仕入れ、シフト調整まで担っている場合、その働きによって黒字が支えられている可能性があります。


たとえば、既存店の月間利益が50万円でも、社長の業務を引き継ぐ店長の追加人件費が月35万円必要なら、他の条件が同じでも残る利益は15万円です。これは説明用の仮定ですが、出店計画では見落とせない視点です。なお、既に費用計上している役員報酬を重ねて差し引くのではなく、本当に増える費用を見積もります。


既存店について、直近12か月の売上と利益、繁閑差、社長の勤務時間、店長が判断できる業務を整理してください。社長が一定期間現場を離れても、品質と利益を保てるかを確かめることが、次の店への準備になります。


さらに、常連客が新店へ移動する場合や、優秀な従業員を新店へ配置する場合には、既存店の売上や運営にも影響します。新店の利益だけを足して、会社全体の将来利益としないことです。


2.新店の損益分岐点を、来店客数まで落とし込む


「この場所なら売れそう」という感覚を、必要な客数に置き換えます。使うのは、売上から売上に連動する費用を差し引いた限界利益です。仕入原価だけでなく、決済手数料や販売に連動する手数料なども確認します。


以下は、税抜・月額で考える単純化した飲食店の仮定例です。


・固定費:180万円(人件費、家賃、減価償却費など)


・変動費率:40%


・限界利益率:60%


・客単価:1,500円


・営業日数:月25日


損益分岐点売上高は、180万円÷60%=月300万円です。必要な客数は、300万円÷1,500円÷25日=1日80人になります。


月30万円の営業利益を目指すなら、必要売上高は(180万円+30万円)÷60%=350万円。必要客数は1日約94人です。店の席数、回転数、営業時間、人員配置から、その客数に対応できるかも確認します。


福岡市内でも、出店候補地ごとの需要は別に調べる必要があります。福岡市の登録人口資料では行政区別・校区別・年齢別の人口を確認できます。ただし、居住人口だけでは平日昼間の来店や観光客の需要は分かりません。想定するお客様、来店時間、徒歩や車での動線、競合店を現地で確かめましょう。


平日と休日、昼と夜を分けて観察し、「誰が、どの時間に、何のために来るか」を売上の根拠にします。市全体の成長イメージを、そのまま個店の売上予測に置き換えないことが大切です。


3.開業資金は、内装費と設備代だけで考えない


開業に必要な現金には、内装・設備のほか、敷金や保証金、仲介費用、開業前の家賃、採用・研修費、広告費、初回仕入れなどがあります。返還予定の保証金も、支払時点では現金が出ていきます。


見積書ごとに「金額」「支払日」「支払先」「資金の出どころ」を一覧にしてください。工事の着手金や中間金など、開業前の支払いも拾います。見積もりが税抜なら、実際の支払総額との違いにも注意が必要です。


日本政策金融公庫の事業計画書も、設備投資や資金繰り、今後の業績、借入残高などを整理する構成になっています。計画書は融資申込みのためだけでなく、自社の判断を整える道具として使えます。


借入れを予定する場合も、希望額と実行日が確定した資金を区別しましょう。融資の可否や実行時期が未確定のまま、解約しにくい契約や大きな支払いを先行させると、資金計画が崩れやすくなります。金融機関への相談は、支払いが迫る前に進めます。


4.黒字化までの資金不足を、月別に見積もる


損益計画と資金繰り計画は、別々に作ります。借入金の元本返済は損益計算上の費用ではありませんが、現金は減ります。逆に減価償却費は費用でも、その月に同額の現金が出ていくわけではありません。


先ほどの仮定例で、月売上が350万円なら営業利益は30万円です。その固定費に減価償却費20万円を含み、元本返済が月40万円なら、営業利益+減価償却費-元本返済は10万円になります。ただし、これは税金、支払利息、追加投資、売掛金・在庫・買掛金の増減などを考慮する前の簡易値です。そのまま自由に使える現金とは考えません。


さらに売上が計画より20%低い月280万円なら、営業利益は280万円×60%-180万円=▲12万円。同じ簡易計算では、▲12万円+20万円-40万円=▲32万円です。売上が少し届かない期間にも、家賃や返済日はやってきます。


開業前から開業後12か月を目安に、既存店と新店を分けた月別計画を作り、最後に会社全体の現金残高へまとめましょう。標準計画だけでなく、売上の立ち上がりが遅れる場合、採用費や工事費が増える場合も試算します。


重要なのは、年間の利益額に加えて「現金が最も少なくなる月」と「その残高」を知ることです。既存店の給与、仕入れ、税金のために必要な資金を、新店に使い切らないようにします。


5.出店を決める前に、見直す条件を決めておく


出店したあとに「ここまで投資したのだから」と追加資金を入れ続けると、判断が遅れます。始める前に、確認する数字と判断時期を決めておきましょう。


たとえば、毎月確認する項目を、来店客数、客単価、限界利益率、人件費、現金残高の5つに絞ります。売上が計画を下回ったときは、客数不足なのか、客単価が低いのか、営業できる日数が足りないのかまで分けて考えます。


そのうえで、「いつまでに、何を改善し、いくらまで追加資金を投入するか」を決めます。期限や金額に一律の正解はありません。会社全体の資金余力、改善に必要な時間、賃貸借契約の解約条件、閉店時の費用を踏まえて設定します。


見直しは閉店だけではありません。営業時間、商品構成、人員配置、販売方法の変更も選択肢です。毎月の数字を見て、早めに小さく修正できる体制を整えることに意味があります。


2店舗目の判断は、会社全体の利益と現金で行う


物件を見る前に、まず既存店の月次損益、社長の業務一覧、新店の見積書、借入返済予定をそろえてください。そして、新店の必要客数と、売上が下振れしたときの資金残高を計算してみましょう。


私は、店舗を増やすこと自体よりも、社長が現場を離れても利益を生み、次の判断に使える現金を残せる仕組みを重視したいと考えています。2店舗目は、その仕組みができているかを確かめる機会でもあります。


いちご会計事務所の経営強化型税務顧問では、月次の数字を経営判断につなげる支援を行っています。出店を検討している方は、既存店の利益、新店の収支計画、会社全体の資金繰りを整理するところからご相談ください。


経営強化型税務顧問のご案内



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参考資料


福岡市「福岡市推計・登録人口(最新)」



日本政策金融公庫「事業計画書」



 
 
 

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