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社長が現実を見なくなったとき、会社は危うくなる

  • 1 時間前
  • 読了時間: 7分


倒産する会社には、やはり“共通点”があります


最近、元銀行員の方が「倒産する会社の特徴」について話している動画を見ました。なかなか刺激の強い内容でして、「そこまで言うか」という表現もありましたが、私は見ながら何度も、ああ、これは現場感覚として分かるな、と思いました。


もちろん、今はどの会社も大変です。物価は上がる、人は採れない、採れても定着しない。加えて、コロナの時に借りたお金の返済が本格化して随分たちますが、まだ新規借入するには過剰債務の状態という会社もあります。

外部環境だけ見れば、「いやいや、社長の責任だけではないでしょう」と言いたくなる気持ちもよく分かります。


ただ、それでもなお申し上げたいのは、同じ環境でも持ちこたえる会社と、崩れていく会社がある、ということです。


その違いはどこにあるのか。


私はやはり、社長が現実を見ているかどうかだと思っています。


厳しい言い方になりますが、倒産する会社というのは、ある日突然ダメになるわけではありません。だいたいその前に、何度も何度もサインを出しています。

でも、多くの場合、そのサインを社長が見ていない。あるいは見ていても、「まあ、まだ大丈夫」と先送りしてしまう。ここが怖いところです。

たとえば、売上が3年続けて下がっている会社。これは、かなり危ないです。

1年下がることはあります。景気の波もありますし、取引先の事情もあります。でも、2年、3年と続くなら、それはもう「たまたま」ではありません。商品なのか、営業なのか、単価なのか、お客様との関係なのか、どこかに手を入れないといけない状態です。

それなのに、社長が「そのうち戻る」「前も何とかなった」と言い始めると、だいたい話がややこしくなります。昔うまくいった経験というのは、社長にとっては成功体験ですが、時々それが現在の判断を鈍らせます。昔のやり方で今も勝てるほど、世の中そんなに優しくありません。

しかも、売上が1割ずつ3年下がると、感覚以上に会社は傷みます。売上は少しずつ減っているつもりでも、利益はそうはいきません。固定費はそんなに簡単に下がりませんから、利益は先に飛びます。売上の減少を「ちょっと落ちてるだけ」と思っていたら、気づいた時には営業利益がボロボロ、というのは珍しくありません。


次に多いのが、原価管理をきちんとしていない会社です。これ、本当に多いです。

売上の数字は皆さん見ます。でも、原価率や案件ごとの採算、どの商品が利益を残していて、どこで利益を削っているか、そこまで見ている会社は意外と少ないです。忙しい、忙しいと言っているのに、なぜか利益が残らない。そういう会社ほど、だいたい原価管理が甘いです。

売上を3%上げるのは大変でも、経費を3%下げる工夫はできることがあります。

両方できれば、経営はかなり変わります。ところが、ここは地味なんですね。派手さがない。だから後回しになる。社長は売上の話は好きですが、原価の話になると急に静かになることがあります。あれはだいたい、見たくないからです。


さらに、動画の中でもかなり強く触れられていましたが、赤字なのに役員報酬を下げない会社。これは、なかなか危険です。

もちろん、社長にも生活があります。ご家族もおられますし、簡単に下げられない事情もあるでしょう。そこは私も十分分かります。ただ、会社が苦しいのに、社長だけ今まで通りというのは、やはり筋が悪いです。

会社の数字が悪いときに、自分の報酬を見直せる社長は、まだ立て直しの可能性があります。

逆に、そこに手を付けられないと、社員も金融機関も「この社長、本気かな」と見ます。

厳しいようですが、社員はよく見ています。社長が口では「みんなで頑張ろう」と言いながら、自分の生活水準は変えないとなると、なかなか人はついてきません。


それから、これも耳が痛い話ですが、広告宣伝費や交際費を“検証していない”会社。これも危ないです。

広告というのは、使ったこと自体に意味があるわけではありません。いくらかけて、どれだけ問い合わせが増えたのか。受注につながったのか。最後に利益として残ったのか。そこまで見なければ、本当は評価できません。

ところが、広告費というのは、使っていると何となく安心感があるんですね。

「何かやっている感」が出る。でも、やっている感と、利益が出ているかは別です。ここを混同すると危ないです。


交際費も同じです。


必要な会食、必要な関係づくりは当然あります。

ただ、それが本当に仕事なのか、ただの習慣なのか、あるいは単なる息抜きなのか。ここは分けて考えないといけません。

会社のお金は、社長の財布ではありません。

この線引きが曖昧になると、経営はだんだん緩みます。数字の問題というより、感覚がだらしなくなるんですね。私はそこが一番怖いと思っています。


もう一つ大きいのが、営業利益が3期連続で赤字という状態です。営業利益というのは、本業で儲かっているかどうかを見る数字です。

ここが赤字ということは、「会社の本業そのもの」で利益が出ていないということです。

売上はある、入金もある、一見すると回っているように見える。でも実は、本業で儲かっていない。

こういう会社は、借入や補助金や一時的な資金で何とか持っているように見えても、長くは続きません。例えて言えば、体力が落ちているのに気合いだけで走っているようなものです。途中までは行けますが、いつか止まります。


それと、私は動画を見ながら「これは本当にそうだな」と思ったのが、意味のない設備投資です。


機械、車、オフィス、内装、IT機器。いろいろあります。

必要な投資ならもちろん良いのです。むしろ必要です。

でも問題は、「それでどれだけ利益が増えるのですか」という説明ができない投資です。

立派なオフィスに入れば売上が上がる、というほど世の中単純ではありません。高い車に乗れば信用がつく、という時代でもありません。

見栄が全部悪いとは言いませんが、見栄は利益を生みません。ここを勘違いすると、会社は静かに苦しくなります。

中小企業経営で怖いのは、社長が「欲しい」と思ったものが、そのまま会社の支出になりやすいことです。

だからこそ、社長自身がブレーキを持っていないといけません。誰かが止めてくれるだろう、では遅いのです。


借入の話もそうです。言われるまま長期で借りて、毎月の返済だけ見て安心していると、気づいたら借入残高が重たくなっていることがあります。

借入は悪いことではありません。ただ、借り方を分からずに借りるのは危ないです。

「月々の返済が少ないから大丈夫」は、半分正解で、半分間違いです。

返済が軽く見えても、借金は残ります。運転資金なのか、設備資金なのか。何年で返すのか。手元資金はどのくらい必要なのか。このあたりを社長が理解していないと、いざというときに動けません。


結局のところ、倒産に向かう会社に共通しているのは、派手な失敗ではなく、小さな見落としの積み重ねです。

売上の減少を軽く見る。原価管理を後回しにする。広告や交際費を検証しない。赤字でも生活を変えない。借入の意味を理解しない。本業の赤字を放置する。


一つ一つは小さく見えても、重なるとかなり危険です。


動画の中では「無知は罪」という、少し強い表現もありました。私はそこまできつく言わなくてもよいかなとは思いますが、ただ、経営においては「知らなかった」が高くつくのは事実です。

中小企業は、大企業のように誰かが補ってくれません。社長が見ていないところは、だいたいそのまま会社の弱点になります。

ですから、私は社長にまず、自社の健康診断をしていただきたいのです。売上はどうか。粗利はどうか。営業利益は残っているか。借入は返せる水準か。広告費や交際費は生きているか。役員報酬は会社の実力に見合っているか。


ここを、毎月きちんと見ることです。そして、できれば数字の読める相手と一緒に考えることです。


税理士でも、会計事務所でも、財務に強い専門家でも構いません。社長一人で抱え込むと、どうしても自分に甘くなります。これは責めているのではなく、人間そういうものです。

会社は、突然悪くなるようでいて、実は前から何度も知らせてくれています。怖いのは、異変があることではありません。異変を“見ないふり”することです。


社長の仕事は、夢を見ることでもあります。でも同時に、現実を見ることでもあります。夢だけでは会社は続きませんし、現実だけでも苦しくなります。その両方を見るのが、経営なのだと思います。

少しでも「あれ、うちも気をつけた方がいいかな」と思われたなら、それはとても良い感覚です。大事なのは、深刻になることではなく、早めに手を打つことです。会社も人間と同じで、早く気づけば、まだ十分立て直せます。

私はそう思っております。

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