2026年の年末調整は何が変わる?社長が準備すべき書類と確認事項
2026年の年末調整は、前年と同じつもりで進めると間違いやすい年です。基礎控除、給与所得控除、扶養親族等の所得要件が改正され、さらに年齢23歳未満の扶養親族を有する場合の生命保険料控除の特例も始まりました。
中小企業の社長や経理担当者にとって重要なのは、改正内容を覚えることではありません。誰に影響するのか、従業員から何を回収するのか、給与計算ソフトや年末調整の設定をどこまで確認するのかを、11月のうちに整理しておくことです。
結論|2026年の年末調整で確認したい4つの変更
2026年分の年末調整で、特に確認したい変更は次の4つです。
基礎控除が引き上げられ、最大104万円となった
給与所得控除の最低保障額が65万円から74万円へ引き上げられた
扶養親族等の所得要件が58万円以下から62万円以下へ引き上げられた
23歳未満の扶養親族がいる場合、新生命保険料に係る一般生命保険料控除の上限が最高6万円となる特例が創設された
これらの改正は、原則として2026年12月1日に施行され、2026年分以後の所得税に適用されます。したがって、2026年11月までの毎月の源泉徴収事務には原則として変更がなく、12月の年末調整から新しいルールを反映します。
1.基礎控除は最大104万円へ
2026年分では基礎控除がさらに引き上げられました。年末調整では、従業員本人の合計所得金額に応じて基礎控除額を判定します。
合計所得金額489万円以下:104万円
489万円超655万円以下:67万円
655万円超2,350万円以下:62万円
2,350万円超2,400万円以下:48万円
2,400万円超2,450万円以下:32万円
2,450万円超2,500万円以下:16万円
2,500万円超:基礎控除なし
例えば、合計所得金額が400万円の人は、2025年分の基礎控除68万円から、2026年分は104万円となります。差は36万円です。これは税額が36万円減るという意味ではなく、所得税を計算する際の課税所得から差し引く金額が36万円増えるという意味です。
会社側では、基礎控除申告書の提出漏れがないか、従業員が見積もった合計所得金額と控除額の区分が合っているかを確認する必要があります。
2.給与所得控除の最低保障額は74万円へ
2026年分から、給与所得控除の最低保障額は65万円から74万円へ引き上げられました。給与収入が比較的少ない従業員や、扶養親族の判定に影響します。
この変更は、単独で見るよりも扶養判定とセットで確認する方が実務的です。給与所得控除が74万円となることで、扶養親族等が給与収入だけの場合、給与収入136万円以下であれば合計所得金額は62万円以下となり、扶養控除等の所得要件を満たすことになります。
3.扶養親族等の所得要件は62万円以下へ
扶養親族、同一生計配偶者、ひとり親の生計を一にする子などについて、合計所得金額の要件が58万円以下から62万円以下へ引き上げられました。給与収入だけの場合の目安は123万円以下から136万円以下へ変わります。
例えば、子どもの給与収入が年間130万円だった場合、2025年分では給与所得控除65万円を差し引くと所得は65万円となり、58万円以下という扶養要件を満たしませんでした。2026年分では給与所得控除74万円を差し引くと所得は56万円となるため、62万円以下となり、他の要件を満たせば扶養控除の対象となり得ます。
年末調整では、従業員が前年と同じ扶養情報をそのまま提出していないか確認してください。所得要件が変わったことで、2026年から新たに扶養控除等の対象になる親族が出る可能性があります。
また、19歳以上23歳未満の親族については、合計所得金額62万円超123万円以下であれば特定親族特別控除の対象となる可能性があります。扶養控除と特定親族特別控除の判定を混同しないことが重要です。
4.23歳未満の扶養親族がいる場合の生命保険料控除
2026年分と2027年分について、年齢23歳未満の扶養親族を有する場合、新生命保険料に係る一般生命保険料控除の計算に特例が設けられています。通常は最高4万円ですが、この特例の対象となる場合は最高6万円です。
新生命保険料の年間支払額が12万円を超える場合、一般生命保険料控除額は6万円となります。対象となる扶養親族は、2026年分では原則として年齢23歳未満で、合計所得金額62万円以下であることなどを確認します。
会社側は、保険料控除申告書に23歳未満の扶養親族の記載があるか、年齢・所得要件を満たしているか、生命保険料控除証明書がそろっているかを確認する必要があります。
2026年の年末調整で会社が準備する書類
従業員の状況によって必要な書類は異なりますが、代表的なものは次のとおりです。
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
給与所得者の基礎控除申告書・配偶者控除等申告書・特定親族特別控除申告書・所得金額調整控除申告書
給与所得者の保険料控除申告書
住宅借入金等特別控除申告書(該当者)
生命保険料、地震保険料、国民年金保険料等の控除証明書
中途入社者については前職分の源泉徴収票
特に2026年分は、基礎控除申告書等の様式が前年から変更されています。前年のPDFや社内テンプレートをそのまま配布しないように注意してください。
社長・経理担当者が11月までにやること
中小企業では、年末調整の計算よりも、書類回収の遅れや記載漏れがボトルネックになることが多くあります。11月中に次の準備を進めると、12月の作業が安定します。
給与計算・年末調整ソフトが2026年改正に対応しているか確認する
従業員へ2026年分の最新様式を配布する
扶養親族の給与収入見込みを前年情報のままにしない
23歳未満の扶養親族がいる従業員を確認する
中途入社者へ前職の源泉徴収票の提出を早めに依頼する
住宅ローン控除、生命保険料控除等の証明書の不足を確認する
私は、年末調整は単なる給与計算業務ではなく、会社の人事・給与データを一年に一度点検する機会だと考えています。扶養情報や住所、家族構成、前職情報など、翌年の給与計算にも影響する項目を同時に整えておくと、その後の事務負担も減ります。
注意|2026年11月30日以前に年末調整を行う場合
2026年度の基礎控除等の改正は原則として12月1日に施行されます。通常の年末調整は12月に行うため新ルールが適用されますが、11月30日以前に年末調整を行う特殊なケースでは取扱いが異なる場合があります。
国税庁は、11月30日以前に行う年末調整について、一部の申告書の記載事項を読み替えて使用する案内も出しています。通常と異なる時期に年末調整を行う会社は、必ず国税庁の最新資料を確認してください。
まとめ|2026年は「前年のコピー」で処理しない
2026年の年末調整では、基礎控除、給与所得控除、扶養親族等の所得要件、生命保険料控除に重要な変更があります。特に扶養判定は、前年と同じ家族構成でも結果が変わる可能性があります。
社長や経理担当者がやるべきことは、制度を細かく暗記することではありません。最新の申告書を使い、従業員から必要な情報を早めに回収し、給与計算ソフトの改正対応を確認することです。
税務の数字は、後から修正するより、最初に正しい情報を集めた方が圧倒的に効率的です。年末調整も、12月に慌てるのではなく、11月までの準備でほぼ決まります。
いちご会計事務所では、年末調整や税務申告だけでなく、月次財務・資金繰り・経営管理を含めて中小企業の経営を支援しています。継続的な税務・経営支援を検討される方は、経営強化型税務顧問の支援内容をご確認ください。
参考|国税庁の一次情報
※本記事は2026年10月15日時点で確認できる国税庁公表資料に基づいています。個別の適用関係は、本人・扶養親族等の所得、年齢、保険契約、住宅ローン控除等の状況により異なります。





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