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2026年10月インボイス経過措置が80%→70%へ|経理担当者が見直す5つのポイント

21 時間前
読了時間: 7分

2026年10月1日から、免税事業者等からの課税仕入れについて利用できる仕入税額控除の経過措置が、80%控除から70%控除へ変わりました。経理実務で重要なのは、単に「控除割合が1割下がった」と理解することではありません。どの取引から70%を使うのか、会計ソフトの税区分、仕入先台帳、帳簿の記載をどう変えるのかまで落とし込む必要があります。


特に9月と10月をまたぐ取引は注意が必要です。原則として支払日ではなく、商品の引渡しや役務の提供が完了した時期で判定します。


結論|10月から経理担当者が見直すべき5つのポイント

最初に結論です。2026年10月以後のインボイス対応では、次の5項目を確認してください。

  • 仕入先が適格請求書発行事業者か、免税事業者等かを改めて確認する

  • 会計ソフトの経過措置用税区分を80%から70%へ正しく切り替える

  • 9月・10月をまたぐ取引は、支払日ではなく課税仕入れの時期で判定する

  • 請求書等と帳簿に、経過措置の適用に必要な情報が残っているか確認する

  • 控除割合低下による納税額への影響を計算し、仕入・価格・資金繰りの判断へつなげる


税務処理だけを直して終わりではありません。控除できない消費税が増えるということは、会社から出ていく資金が増えるということです。影響額を数字で見える化し、経営判断までつなげることが大切です。


インボイス経過措置は80%から70%へ

インボイス制度では、原則として適格請求書発行事業者以外からの課税仕入れについて、仕入税額控除を受けることができません。ただし、制度開始後の一定期間は経過措置が設けられています。


  • 2023年10月1日~2026年9月30日:仕入税額相当額の80%

  • 2026年10月1日~2028年9月30日:70%

  • 2028年10月1日~2030年9月30日:50%

  • 2030年10月1日~2031年9月30日:30%

  • 2031年10月1日以後:経過措置なし


今回の実務上の節目は、2026年10月1日です。9月まで80%で処理していた取引を、そのままの税区分で計上し続けないよう注意してください。


数字で確認|110,000円の仕入れで何が変わるか

分かりやすくするため、すべて標準税率10%の課税仕入れで、免税事業者等から税込110,000円の仕入れをした単純な例で考えます。消費税相当額は10,000円です。


  • 80%控除の場合:仕入税額控除 8,000円

  • 70%控除の場合:仕入税額控除 7,000円

  • 差額:1,000円


同じ税込110,000円の仕入れでも、2026年10月以後は、この例では会社の消費税負担が1,000円増えます。年間の同様の仕入れが税込1,100万円なら、単純計算で差額は10万円です。


実際には軽減税率、非課税取引、課税売上割合、簡易課税の適用などによって結果が変わります。この例は、本則課税で経過措置の影響だけを理解するための簡略化した計算です。


1.仕入先のインボイス登録状況を再確認する

まず、仕入先マスターを確認します。適格請求書発行事業者と、それ以外の事業者が正しく区分されているかを確認してください。


取引開始時に確認したまま何年も更新していない場合、登録状況が変わっている可能性があります。仕入先コードや取引先マスターに登録番号や登録状況を持たせ、定期的に確認できるようにしておくと実務が安定します。


2.会計ソフトの税区分を70%へ切り替える

会計ソフトでは、免税事業者等からの仕入れについて経過措置専用の税区分を利用しているケースがあります。2026年10月以後の取引について、80%控除用の区分を使い続けていないか確認してください。


自動仕訳や定型仕訳を登録している場合は、手入力よりも見落としやすくなります。毎月繰り返す外注費、地代家賃、業務委託料などの仕訳ルールを一度棚卸しすることを勧めます。


3.9月・10月をまたぐ取引は「支払日」で決めない

今回、特に間違いやすいのが取引時期の判定です。経過措置の適用割合は、その課税仕入れを行った時期で判断します。単に請求書を支払った日で80%か70%かを決めるわけではありません。


国税庁のQ&Aでは、役務提供が2026年9月21日に始まり10月20日に完了した場合、原則として役務提供完了時の10月20日が課税仕入れの時期となるため、70%控除の対象になる例が示されています。


また、物品購入では、9月30日までに引渡しを受けた分は80%、10月1日以後に引渡しを受けた分は70%という考え方になります。10月末にまとめて支払ったとしても、支払日だけで判定しません。


一方で、法人税・所得税上の短期前払費用の取扱いにより支払時に費用処理している場合など、例外的な取扱いがあります。9月・10月をまたぐ前払費用を一律に70%へ変更するのではなく、個々の処理方法を確認してください。


4.請求書だけでなく帳簿の記載も確認する

経過措置を適用するためには、区分記載請求書等と同様の事項が記載された請求書等の保存に加え、帳簿にも経過措置の適用を受ける課税仕入れであることが分かる記載が必要です。


会計ソフト上で税区分を設定していても、その設定だけで社内の証拠管理が十分とは限りません。請求書の保存方法、電子帳簿保存、仕訳摘要や補助科目の運用を含めて、税務調査時に説明できる状態にしておくことが重要です。


5.税負担の増加額を経営判断へ反映する

私は、ここが最も重要だと考えています。制度上の控除割合が下がったからといって、免税事業者との取引を機械的に打ち切るべきとは限りません。


仕入価格、品質、納期、代替先の有無、長年の取引関係などを合わせて考える必要があります。まず「この取引を続けた場合、年間でいくら税負担が増えるのか」を数字にしてください。その金額が見えれば、価格交渉をするのか、仕入先を変更するのか、現状を維持するのかを比較できます。


制度上できることと、経営としてやるべきことは同じではありません。税務を経営判断の一材料として使うことが、中小企業には重要です。


年間1億円超の仕入れがある取引先は追加確認

2026年度税制改正では、免税事業者等からの課税仕入れに係る経過措置について、一の免税事業者等からの年間の課税仕入れが1億円を超える場合、超える部分を経過措置の対象外とする見直しも行われています。


この上限の見直しは、2026年10月1日以後に開始する課税期間から適用されます。多くの中小企業では該当しない可能性がありますが、大口の外注先、不動産取引、特定仕入先への集中度が高い会社は確認が必要です。


経理担当者向けチェックリスト

  • 主要仕入先の適格請求書発行事業者の登録状況を確認したか

  • 会計ソフトの80%・70%経過措置用税区分を確認したか

  • 9月・10月をまたぐ納品・役務提供の取引を抽出したか

  • 請求書等と帳簿の保存・記載要件を確認したか

  • 年間の消費税負担増加額を試算し、納税資金へ反映したか

  • 大口の免税事業者等への仕入れが年間1億円を超えないか確認したか


まとめ|税区分変更で終わらせず、税負担を数字にする

2026年10月からの変更で重要なのは、会計ソフトの設定変更だけではありません。仕入先の登録状況、取引時期、証憑と帳簿、年間の税負担まで一続きで確認してください。


特に、9月と10月をまたぐ取引は支払日で機械的に判定しないことが重要です。商品の引渡しや役務完了時期など、課税仕入れの時期を確認した上で処理します。


税率や制度の変更は、会社の資金繰りにも影響します。数字を把握するのは、税務処理を正しくするためだけではありません。次の経営判断を、より確かなものにするためです。


いちご会計事務所では、税務処理だけでなく、月次財務分析や資金繰りを含め、数字を経営判断につなげる支援を行っています。インボイス対応を含め、税務と経営管理を継続的に整えたい方は、経営強化型税務顧問の支援内容をご確認ください。


参考|国税庁の一次情報


※本記事は2026年10月15日時点で確認できる国税庁公表資料に基づいています。個別の取引については、契約内容、納品・役務提供の時期、課税方式等により取扱いが異なる場合があります。

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