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【福岡ビジネス】最大「4時間待ち」の生ドーナツ屋さん「I’m donut?(アイムドーナツ)」について考えた

更新日:2022年12月16日

福岡の飲食小売りで今一番の話題は、10月にオープンしたドーナツ専門店「I’m donut?(アイムドーナツ)」でしょう。独特の軟らかさと口溶けが売りの「生ドーナツ」が人気を集めています。


このドーナツ屋さんについて、西日本新聞が以下のような記事を書いています。


実家が菓子製造小売であるため、こういう飛び抜けたお菓子屋さんの話が出てくると、その戦略に興味があります。果たして、どのようにして業績を伸ばしたのかと。


上記記事とインタビューを読んで私が思うに、このお店はドーナツを売ってないんですね。皆が噂するお店のドーナツを食べたよという「体験価値」を売っているのだと思います。

製品そのものを主役として売っているのでは無く、新しいドーナツを触媒にして、その周辺の体験と共有を売っているというべきでしょう。


SNSの進展によって、食がますます食べるという本来の目的からファッションへと変化し、その食べたことの経験価値およびその共有ーある意味USJとTDRに行ったよと友達にインスタで報告するのと同じくらいのレベルで、外で食事を買う・食べるというものの考え方が変化しているのだと思います。

流行に乗ることによる一体感および優越感、そしてSNSによる発信と共有による自己顕示といった、そういう21世紀の現代人的感情を、このオーナーはうまくとらえているのかも知れません。


これは食のエンタテインメント化を表す、まさにフードロスが問題になる飽食の現代らしい事象だと思います。


現代においては、一般消費者向けの製品ー特に食品に関してはライフサイクルの期間がドンドンと短くなっており、なだらかに始まってなだらかに終わる富士山型から、急激に始まってすぐに終わるペンシル型に変わっていると言われています。


この背景には食の大量生産能力と物流の発達による供給能力の拡大、あわせて食のファッション化があり、それが原因と私は考えています。


そうなれば飲食や菓子小売業のような流行に左右される商品を扱う企業は、ますますこの環境に適応した戦略が必要となります。


いっそ、このオーナーがされているように、食がエンタテインメント化していることを認め、それをプロモーションする技術を磨くことが、今後の菓子製造小売りや外食を扱う企業等には必要なのかも知れません。


結論は、客は腹を空かせて店に買いに来ているのではなく、エンタテインメントの一つとして食を考えて「体験」したくて来ているという事なのでしょう。

客は何を欲しいと思っているのか。ここをしっかりととらえる事が、今後の経営をうまくしてゆく事なのかも知れません。







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