【書籍紹介】デジタル時代のマーケティング『コトラーのマーケティング4.0』
マーケティングの神様と呼ばれるコトラー
新規顧客開拓に、興味がない経営者はいないでしょう。
見込客を引きつけ顧客していく営業のやり方-マーケティングへの、関心はいつの時代もつきないものです。
コトラーは20世紀の半ばからマーケティングの学者として、その先端を歩んできました。
特に、セグメンテーション・ポジショニング・ターゲティングという、現代のマーケティングでは当たり前となった考え方を最初に提唱したのは、コトラーです。
そのコトラーは、2010年に発表した「マーケティング3.0」において、顧客を単なる購買者としてとらえるのではなく、精神的な人格を備えた存在としてとらえるべきと唱えました。
顧客に対する価値提供には、あらゆる商品・サービスが大量生産によりコモディティ化し、また人々の人生や生活の価値観、問題意識の変化から、これまでような機能的価値や感情的価値の提供に加えて、精神的価値の提供も考慮して活動しなければならないと分析を論じました。
その上で、ネットとITテクノロジーの発達も相まって、企業対大衆ではなく、企業対個人という結びつきができるようになった環境の変化からも、ブランド作りは個人と企業との協同によってなされるという考えを、唱えました。
この考えは、現代の人々の価値観の変化を基礎に置いた分析をしており、読んだ当時はよくわかりませんでした、今の時代になってその通りであったと思います。
マーケティング3.0から4.0へ
このマーケティング3.0は、マーケティングを担当する専門家に大きな衝撃を与えました。
ただ、マーケティング3.0では具体的な方策についてはあまり触れられていなかったことと、当時、新たに隆盛を極めだしたSNSサービスの拡大について、まだ考慮がなされていなかった点がありました。
そこで、マーケティング4.0においてはその点を考慮し、3.0からの発展として原著の副題「Moving from Traditional to Digital」とあるように、伝統的マーケティングからデジタル時代への変化を更に組み込んだ分析、理論展開がなされています。
特に、SNSを意識したカスタマージャーニーのフレームワークを利用した、いわゆる「5A」モデルを提唱して、多くのマーケターに刺激を与えました。
5Aとは認知(aware)ー訴求(appeal)ー調査(ask)ー行動(act)ー推奨(advocate)という、5つのAで表される一連の流れの中で、各項目(タッチポイント)毎にどのような施策を企業はしていくのかということを考えさせるフレームワークです。
私は、このカスタマージャーニーのフレームワークの中に、「推奨」の点を入れているのがコトラーの慧眼とだとおもっているところです。
この本が出たの2017年当時、このころあたりからネットでの口コミを重視する流れが意識されだし、企業広告の内容ではなく、誰が書いたかわからないネットが言っている事の方を信用する、という傾向が大きくなってきていました。
コトラーは、この傾向の変化をしっかりつかみ、もはやマス広告に頼るだけでなく、個々の推奨を得るということをマーケティングに実装する必要性を、この5Aのフレームワークを通じて訴えたのです。
この推奨という部分をしっかり押さえた企業は、中小・大企業問わず、マーケティング的にはうまく言っているように見えます。
マーケティング5.0
マーケティングの関係者に大きく影響を与えたマーケティング4.0ですが、その後も5.0まで書籍は出ています。
マーケティング5.0は、また一層デジタル進化を意識し、取り入れた内容となっています。
ただ、私はマーケティング3.0、4.0と呼んでから5.0を読んだ方がいいような気がします。
そして現在、マーケティング4.0でさえ実行できていない企業が多いところからも、まだ4.0の内容は色あせていないようにも思えます。
売上について、なかなかいいアイディアが出ないかたは、この本を読まれてはいかがでしょうか。
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